ドイツはオーガニック先進国!オーガニック後進国の日本との違いは?

海外のオーガニック情報

今の日本は、残念ながら農薬大国と呼ばれるような状況であり、オーガニック後進国と言わざるを得ない状況です。一方、世界にはオーガニック先進国と呼ばれる国も存在します。

その代表がEUのドイツです。そこで、そのドイツと日本の現状比較と、ドイツがオーガニック先進国となった理由について、以下でご説明いたします。

なお、この投稿は下記記事を参考にさせていただいております。

オーガニック先進国ドイツとオーガニック後進国日本の現状

ドイツと日本のオーガニックの普及に関しては、以下のような大きな格差があります。

オーガニック農地面積

まずは、オーガニック野菜を栽培している農地面積についてです。 FiBL(スイス有機農業研究所)による2018年発表(数字は2016年時点)の情報になりますが 、ドイツは1,251,320ヘクタールで、世界第10位。一方、日本は9,956 ヘクタール。何とドイツの100分の1の面積もないのです。

オーガニック農地の割合

同様に FiBLによる2016年時点の情報になりますが 、 全農地に対するオーガニック農地面積の割合についてです。ドイツの7.48%に対して、日本は何とたったの0.22%。

オーガニック生産者数

同様に FiBLによる2016年時点の情報になりますが 、オーガニック生産者数についてです。ドイツの27,132に対して、日本は2,130。こちらも大きな差があります。

オーガニック食品市場の大きさ(売上額)

同様に FiBLによる2016年時点の情報になりますが 、ドイツはオーガニック食品市場の大きい国別ランキングで、アメリカに次ぎ第2位!金額にして、9,478百万ユーロ。日本はその約10分の1と言える1,000百万ユーロ。

なお、上記の FiBL各種データに関しては、https://statistics.fibl.org/、からダウンロード可能です。また、それらのサマリー資料は、https://www.organic-world.net/yearbook.html、に置いてあります。

オーガニックスーパーの店舗数

そして、オーガニックスーパーの店舗数については、以下のような状態です。

ドイツ:全国チェーン展開する大手のオーガニックスーパーだけでも700軒以上の店舗があり、最大手の「denn’s」だけで全国に200軒以上チェーン店舗を展開。
1店舗で約60,000種類のオーガニック商品を提供している。
日本:ドイツのようなオーガニック商品だけを集めたオーガニックスーパーはほとんどない。

出典元: なぜ、オーガニック先進国ドイツでオーガニックがここまで広まったのか。パーソナルベネフィットを超えるソーシャルベネフィットとしてのオーガニックとは。

また、ドイツでは、オーガニックスーパーだけでなく、ドラッグストアでもオーガニック食品を取り扱っています。日本人がドラッグストアの食品売場を見ると、オーガニックスーパーかと勘違いしてしまう程の品揃えです。

さらに驚くべきことは、ドイツではドラッグストアだけでなく、ディスカウントストアまでがオーガニック食品の取り扱い品目を増やしているという事実です。そういう市場競争もあり、オーガニックスーパーも以前のような成長は難しくなり、苦戦を強いられている状態なのです。

ドイツではオーガニック食品に関する需要が高いため、小売業でもこのような動向となっているのです。

ドイツがオーガニック先進国になった背景

各種数字を見ていただいた通り、ドイツではオーガニックが非常に普及しています。では、なぜドイツはオーガニック先進国と呼ばれるようになっていったのでしょうか?

ドイツでは、オーガニックに関する取り組みが第一次世界大戦後に芽生えました。

世界では農作物を大量生産するため、殺虫剤や化学肥料を大量に使用する、今で言う「慣行農法」が第一次世界大戦以前から行われていました。ただ、その農法による様々な弊害が生まれました。その時に、ドイツでは以下のような動きが起きたのです。

燐酸系・窒素系の化学肥料の多用により、ドイツの土壌の状態は著しく損なわれ、作物の風味、種の発芽率、家畜の健康状態にも悪影響を及ぼすようになりました。人智学の創始者であるシュタイナー博士は、生産農家からの依頼を受け、自然の摂理や天体の動きに基づいた農業を営み、作物本来の持つ生命力を最大限に引き出そうとする新しい農法を提唱しました。このシュタイナー博士によるバイオダイナミック農法を、Demeter(デメター:ギリシャ神話の豊穣神であるデーメテールにちなんで名付けられました)という団体が忠実に実践して行きました。

出典元:ドイツオーガニック業界の歩みと今後の動向

Demeter(デメター)は、現在のドイツでもオーガニック製品を推奨・認定する最古の団体として君臨しています。

また、上記のような一部知識者による行動だけでなく、住民意識の変化も表れました。

工業化に伴う都市部への急激な人口流入に伴い、公衆衛生や生活環境への影響が懸念されるようになり、健康状態や生活環境の改善(Reform)に寄与しようする気運が住民の中に芽生えて行きました。このような時代の背景を受け、健康改善運動を推奨するレフォルムハウス(Reformhaus)の店舗がドイツ全土に徐々に広がって行きました。「できる限りナチュラルな生活を」をモットーに、栄養学等の専門知識に基づいた食生活の指導や健康管理のためのアドバイスを行い、無農薬の生鮮食品や機能性食品の販売を手がけるようになりました。

出典元:ドイツオーガニック業界の歩みと今後の動向

このような社会運動は、ゆっくりと、ただ着実に受け入れられていき、その結果、ドイツはオーガニック先進国と呼ばれるまでになったのです。

オーガニック先進国ドイツとオーガニック後進国日本の国民性

ドイツと日本では共通点が多いです。第二次世界大戦で破れたにも関わらず、その後に大きな経済成長を果たし、両国とも経済大国と呼ばれるようになったバックボーンは、同じ「勤勉」という国民性によるものです。

ただ、ドイツ人は日本人とは異なる国民性も持ち合わせています。ドイツでオーガニックの普及率が上がっているのは、 以下に挙げた国民性によるものと思われます。

ドイツ人は相互扶助の精神が強く、社会的な利益を優先させる

ドイツ人は他の欧米人と同様に、日本人と異なり自分の意見をしっかり主張します。日本人のように、他人を傷つけないために、また自分が嫌な人間と思われないために、オブラートに包んで表現することはありません。個人主義を貫きます。

ただ、それは利己主義とは異なるものです。自分の利益だけを追求するために自分の主張を貫いている訳ではありません。ドイツ人は相互扶助の精神が非常に強いです。

日本人も、自分の家族・親戚・知人に対しては気配りをしますが、ドイツ人は赤の他人に対しても、困っているのであれば手を差し伸べる相互扶助の精神が強いです。その精神は社会正義の心も育んでいます。

オーガニック食品の価格は、日本ほどではないにしても、ドイツでも通常の食品に比べて高額であることは変わりません。ですから、個人の経済的なメリットを優先してしまえば、オーガニック食品を買い控えてしまうことになるでしょう。

ただ、ドイツ人は、「農家支援のため」「環境・人体のため」にオーガニックを選択している人が非常に多いのです。社会的な、長期的な利益のために、個人的な、短期的な利益を抑える判断が出来るのです。

ドイツ人は質実剛健

それと、ドイツ人はよく「質実剛健」であると言われています。

ドイツ人の服装は質素です。実際に電車や街中の人を観察してみると、地味でシンプルな服装をしている人が多いことに気づきます。

また、ドイツ車は日本でも非常に人気ですが、実は日本車の方がデザインは多様で、装備されている機能数も多く、利用するにあたっては便利なことが多いです。

ただ、ドイツ車は、車の基本性能である「走る・曲がる・止まる」の部分が洗練されているため、「車を運転する」ことだけに限って言えば、日本車より快適なのです。

メイド・イン・ジャパンの製品は非常に優秀ですが、日本人が見た目の美しさや便利さも求めるため、生産者はそれらを充実させることに注力しています。

そのため、野菜に対しても、日本人は美味しさだけでなく、見た目の美しさまで求めてしまいます。農家はそれに応えるため、たくさんの農薬を使用するのです。

ただ、野菜は食べるもの、口から体に入れるもの、です。ですから、確かに美味しさは重要ですが、それと同じぐらいに、いや、それ以上に、安全である、ことは非常に重要なのです。ドイツ人は、野菜に求めるべきものは、美しさではなく、安全性である、ことを理解しているのです。

ドイツには、オーガニック先進国と呼ばれるほど、街にオーガニック商品が溢れている。それは、第一次世界大戦後に生まれた、殺虫剤・化学肥料を大量に使用する慣行農法による弊害を見直す社会運動による賜物である。その社会運動が広まったのは、ドイツ人の、相互扶助の精神が強く社会的利益を優先させる、質実剛健である、という国民性によるところが大きい。

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