なぜ日本は農薬大国なの?そして、今後も農薬大国のままなの?

日本の農業とオーガニック

ご存知ない方も非常に多いのですが、日本は耕地1ヘクタールあたりの農薬使用量が中国・韓国に次いで世界第3位、という農薬大国です。そういう話を聞くと国産野菜を食べることが不安になってきますよね。

では、なぜ日本の農業では、そのように大量の農薬を使用しないといけないのでしょうか? その点について以下でご説明いたします。

なお、この投稿は下記記事を参考にさせていただいております。

日本が高温多湿な気候だから

日本の農薬使用率の高さの理由の1つは、日本の高温多湿な気候です。 日本の多雨、そして温暖な気候は、作物の生育には好条件ですが、湿気に伴い害虫も発生しやすい環境なのです。

欧米のように日本より気温が低く、湿度も低い場所であれば、害虫の発生も少ないため、農薬の使用量も少なくて済みます。気候の違いにより農作物を栽培する難易度は変わりますが、その難易度の高さをカバーするのが農薬、ということなのです。

害虫被害による出荷の減少は、天災被害と同様に農家にとって死活問題となってしまうため、農薬による害虫駆除は欠かせないものなのです。

日本人は見た目がきれいな野菜を求めるから

また、虫食いのある農作物はどうしても消費者の印象が悪くなってしまいます。消費者が見た目のきれいな野菜・果物を求めるため、それに応えようとして農家は農薬を多く使ってしまうのです。

八百屋やスーパーの青果売場に行けばわかりますよね。置いてある野菜・果物は、虫が棲んでいるはずの土で育ったとは思えない程、虫食いの全くないものばかり。特に果物は、虫食いもキズもなく、ピカピカのものばかりです。そういうものでなければ、日本では売れないのです。

野菜・果物に限った話ではありませんが、日本人の過剰なまでの品質へのこだわり、キレイ好きが、農薬大国日本を生み出している、と言えるかもしれません。

日本は国土が狭いから

さらに、日本は国土が狭い島国だからこそ、少ない耕作面積でいかにしてたくさんの収穫量をあげていくのかを考えていかなければなりません。その結果、いわゆる農地集約型といわれるような農業が多く行われています。小さな面積を有効に活用するための栽培技術が発達しているということです。

ビニールハウス栽培などは、農地集約型農業の典型的なものですが、限られた面積の中で収穫量を増やそうと思えば、様々な工夫が必要になってくるのです。

ビニールハウスをはじめとした農地集約型の農業では、同じ場所で長く栽培することにより、長期間収穫を続けていくスタイルとなるため、農薬・化学肥料の散布回数・量もそれに合わせて必然的に増えていってしまうのです。

そして、農薬利権に群がる構造があるから

農薬大国日本を生み出している背景は別にもあります。以下に記載している通り、農薬を大量に消費する構造を支えているのが、農薬利権に群がる「農薬ムラ」の存在と、日本の甘い農薬残留基準、です。

「農協(JA)が種と肥料、農薬をセットで売り、農薬を使うように指導しています。そして農水省や農水族議員、JA、農薬メーカーなど“農薬ムラ”の存在があります。農水官僚は関連団体に天下り、関連団体・企業は選挙や献金で自民党を支援する。その結果、甘い残留基準が温存されて、農薬漬けの状況から抜け出せなくなっているのです」

出典元: 日本を農薬大国に育てた“農薬ムラ”の利権構造

日本では、害虫による生産量の減少・品質低下を防ぎ、また狭い土地で生産性を向上させるため、必然的に農薬・化学肥料の量も増えてしまう。また、農薬利権に群がる構造も、日本を農薬大国にしている要因と言える。

日本は今後も農薬大国のままなの?

一方で、日本の農業経営では経費の7~11%を農薬代にかけているという事実もあります。そのことに疑問を感じて、また、野菜・果物の安全性を考え、少しずつではありますが、有機栽培(オーガニック)にシフトしている農家も増えてきています。

また、各々の農家単位だけでなく、組織ぐるみでオーガニックに取り組んでいるケースも出てきています。具体的には、JAの一部組織が「有機(オーガニック)認証事業者」になっている、という事実があるのです!

旧態然としたルールの中で運営されているイメージの強いJAですが、そのJAが組織ぐるみでオーガニックに取り組んでいることは、非常に画期的なことと言えるでしょう。

有機(オーガニック)認証の詳細および、有機(オーガニック)認証事業者の一覧については、以下を参照ください。

今後、このようなオーガニックへの取り組みが少しずつでも増えていけば、近い将来、日本も農薬大国とは呼ばれなくなる日が来るでしょう。

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