オーガニック野菜(有機野菜)とは、化学合成農薬や化学肥料に頼ることなく、土壌の持つ力を活かして環境への負荷をできる限り少なくする農法で作られた野菜のことですが(詳細は、オーガニックとは、を参照)、それを購入する上での良い点、および悪い点をご存知でしょうか?
オーガニックは、健康には良さそうだけど価格は高そうなイメージがありますし。その点について以下でご説明いたします。
なお、この投稿は下記記事を参考にさせていただいております。
オーガニック野菜の良い点(健康)
オーガニック野菜は健康にいいイメージがありますが、具体的にはどのような理由でそのように言われているのかを確認していきましょう。
残留農薬が少ない
オーガニック野菜の良い点ですが、まずは残留農薬が少ないため、その摂取によって起こる可能性があると言われている様々な健康に関する不安から開放される点です。ただ、食品から検出される農薬がどれぐらいの濃度の場合に、人の健康に影響を与えるのかについては、残念ながらまだ明確になっていないのが現状です。
病気に対して予防効果のある成分が多い
また、有機農産物には高濃度の抗酸化物質が含まれている、という研究結果も発表されています。抗酸化物質は、クローン病・心血管疾患・神経変成疾患・ガンなどの病気に対しての予防効果がある、と言われています。
農業地域に住む人々の健康リスクを低減できる
あと、農薬や化学物質は農業地域に住む人々の健康を損なう危険性があります。アメリカのカリフォルニア州では、農家で使用されている農薬と、その地域に住む子供達のガンリスクに関係があることを示す研究結果が発表されました。オーガニック農法への切り換えが進めば、このようなリスクの軽減にもつながるでしょう。
オーガニック野菜は残留農薬が少なく安全であり、病気の予防効果も期待でき、また、 農業地域の住民に対する健康リスクも軽減できる。
オーガニック野菜の悪い点(価格・取り扱い店舗数)
一方、オーガニック野菜に関する課題もない訳ではありません。日本ではまだまだ需要が少ない中、有機栽培の農家は、農薬の使用を極力抑えることに伴う、害虫被害による出荷量の減少・品質低下などのリスクを抱えながら生産しています。そういう厳しい条件下での生産となるため、まだまだ担い手も少なく、それに伴い、出荷量も少ないことにより起こっている課題があるのです。
価格が高い

オーガニック野菜と通常の野菜の価格を比較すると、総じて3割程度は高くなっています。その理由は、以下に記載した、有機栽培農家の少なさによるものです。
実際に有機栽培を行っている農家の割合は、平成22年の時点で全農家数のわずか約0.5%ほど。
面積で表すとたった約0.2%程度しか占めていないのです。
イタリアでは約8.6%、ドイツが約6.1%と数値で比較すると、圧倒的に世界の中でも日本の有機栽培農家は割合が低く、まして国土が狭い日本において、この数値が表す農家の数は本当に微々たるものということがわかります。
日本ではオーガニック野菜の生産量が本当に少ないため、必然的に店舗での販売価格も高くなってしまうのが現状なのです。
取り扱い店舗数が少ない
オーガニック野菜の課題は、価格が高いことだけではありません。生産量が少ないため、取り扱い店舗数も少ないという問題もあるのです。
イオングループの店舗では、自然と体に優しい、をテーマに「トップバリュー グリーンアイ」というPB(プライベートブランド)を立ち上げていますが、その中で「グリーンアイオーガニック」というカテゴリーを作り、オーガニック野菜を取り扱っています。
ただし、オーガニックは一部野菜に限られますし、また、取り扱い商品のほとんどがオーガニック食品というスーパー・ショップはまだまだ本当に少ないのが現状です。
そのため、このサイトではオーガニックスーパー・ショップやオーガニック通販・宅配をご紹介していますので、是非参考にしてみましょう。
有機栽培(オーガニック)では、害虫被害に伴う生産性・品質低下のリスクを伴うことにより出荷量が少なくなってしまうため、価格が高く、取り扱い店舗数が少ない。
予算を抑えてオーガニック野菜を買うには?
では、価格の高いオーガニック野菜を予算を抑えつつ上手に購入するには、どのような工夫をすればいいのでしょうか?
オーガニック野菜を食べるべき人に優先順をつける
まずは、オーガニック食品を食べるべき人に優先順をつけ、それに該当する人の食事については優先的にオーガニック野菜を購入する、というものです。一番オーガニック野菜・食品を食べて欲しいのは、以下に該当する方々です。
- 乳幼児
- 妊婦
- 免疫力が低下している人
化学物質の残留量で優先順をつける
次に挙げるのが、化学物質の残留量が多い野菜をオーガニックにして、少ないものは普通の野菜にする、というものです。以下に、 化学物質の残留量の多い野菜・果物、少ない野菜・果物を記載しましたので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
化学物質の残留量が多い野菜

- ほうれん草
- トマト
- セロリ
- ジャガイモ
- ピーマン
- レタス
化学物質の残留量が少ない野菜
- アボカド
- とうもろこし
- きゃべつ
- たまねぎ
- グリーンアスパラ
- なす
- カリフラワー
- ブロッコリー
化学物質の残留量が多い果物

- イチゴ
- リンゴ
- ぶどう
- 桃
- さくらんぼ
化学物質の残留量が少ない果物
- パイナップル
- パパイヤ
- マンゴー
- キウイ
- メロン
- スイカ
上記リストは、下記の環境ワーキンググループ(海外)による報告に基づいています。
オーガニック野菜を手に入れやすくするには?
そんな価格が高く、取り扱い店舗の限られたオーガニック野菜を、今後リーズナブルに、どこでも入手出来るようにするために、我々消費者が出来ることって、どんなことがあるのでしょうか?
それは一つしかありません。皆さんがオーガニック野菜(有機野菜)に興味を持ち、その魅力を理解して、その結果としてそれらを買う頻度を増やすことによって需要を上げていき、それに合わせて農家が生産量を増やしていくこと、これこそが、唯一の解決策です。圧倒的な需要がない限り、農家の皆さんも、非常に手間ひまのかかるオーガニック野菜(有機野菜)の栽培には目が向きません。
ドイツでは、オーガニックスーパーだけでなく、ドラッグストアやディスカウントストアでも普通にオーガニック野菜を取り扱っています。需要があれば、そのようなことも現実出来るのです。
そのような状況を実現するためには、我々の意識を変える必要もあります。日本人は過剰なまでに品質にこだわります。ただ、野菜においては「安全性」という品質以上に、「キレイ」という見た目の品質にこだわっている実態があります。
野菜ですから新鮮であることは必要ですが、農薬たっぷりで虫食いひとつない(虫も食べない)ピカピカのキレイな野菜から、農薬を控えたため少し虫食いのある(虫も食べてしまう)野菜へシフトしていく、といった考え方の切り換えも必要となってくるでしょう。